「漫勉」がすごい
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プロの漫画家の作業風景を定点カメラで撮影し、ネーム、下書きからペン入れ、そして仕上げまで作業をみっちり見せてくれながら、浦沢直樹とゲスト漫画家が語るという番組です。
先日からTwitterなどでも話題になっていたので気になっていたんですが、本日再放送だった東村アキコさんの回を拝見しまして、もう「これはすげー!すごい!」と思い、この衝撃を忘れないために自分で読み返す用にブログでも書いておこうと思った次第です。
とにかく、この番組を見たわたしの感想は
「プロすごい!!」「今の若い子ってこんなのまで見れていいな!」
そして「絵が描きたい!!」でした。
あこがれの「つけペン」の思い出
中学生の頃、漫画大好きだったわたしは「やっぱつけペンだよねー」と、絵も上手くないのにお小遣いで画材を少しずつ買いながら、ファンロード(※オタク雑誌)のイラストラボを読んではあの画材がいい、あのインク*1がいいと買い集め、半ば画材コレクターと化していました。
そして買ったはいいものの全く使いこなせず、つけペンにはインクをどれくらいつけるのか、そもそもどっち向きで使うものかも分かっておらず、Gペン*2を使ってはガバガバに開き、紙はボロボロ、丸ペン*3も筆圧が高すぎて細い線は引けず、ペン先に紙の繊維が詰まるというまさに豚に真珠状態でした。
そんな青春?黒歴史?時代を過ごしたわたしにとって「漫勉」を見た最初の衝撃は「つけペンってプロはこうやって使うんだー!」(そこかよ)というものでした。
当時こういった動画があれば、ペンを裏に向けながら申し訳程度のインクをつけつつペンを寝かせまくって線を引くようなことはしなくて済んだはず…!あの頃の自分に見せてやりたいと、本気で思いました。
弘法は筆を選ばず、プロはどんな画材でも上手い
そしてプロはつけペンだけでなく、たくさんの道具を用途によって使いこなしています。
ミリペンもHI TEC-Cも筆ペンもマッキーも修正ペンも、ダメじゃなかったんだ、使っていいんだ。
当時のわたしはホワイトを使わない、修正のないきれいな線の絵が偉いんだと思っていました。
書き直しはみっともない。ミリペンは消しゴムをかけると線が薄くなっちゃうしマッキーは裏うつりしちゃう。筆ペンで主線なんてブヨブヨしちゃって無理無理、これは自分には使えない、とすぐに諦めていました。
でもそんなことなかったんだなー、プロも使ってるし、自分がちゃんと使いこなせていなかっただけだったんだ、と気付けました。
書き直しを恐れるより「自分の線」を
さらに、もっともっと衝撃だったのは藤田和日郎さんの回。
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こちらは実は放送はまだ見ていなくてホームページにあった動画を見ただけなのですが。(オンデマンド化はされてないらしい!熱望!)
まず、コマを切り離して作業していること。コマを貼り合わせるというのは噂には聞いたことはありましたが、そのコマに修正が入り、描き直しきれない場合に使う裏技みたいなものなんだと思っていました。藤田先生は見開きページで作業に集中するためにこの手法を使っていたようです。
そして藤田先生の、下書きとは名ばかりのアタリのような線からのペン入れ。それって一般的に一発描きっていうやつっすよね…?
線は勢いを大事に、ガタガタの線でもお構いなし。消しゴムをかけるかのようにザクザクと修正液で消したり描いたりを繰り返し(藤田先生の原稿は物理的に重いらしい)、最終的には勢いと迫力のある、超美麗な絵が出来上がっていたのです。
下書きもしっかり描いて、清書の線はきっちりきれいな線でなぞって、という小学校教育の呪縛(なんか文集の作文とかそんな感じだった気がする)に囚われまくっていたわたしには衝撃の映像でした。
いいんだ!?それで!?いいんだ!!(肯定)
この番組を中学生のわたしが見ていたら、わたしの絵もまた違ったものになっていたのかなとかぼんやり考えます。
でも、時間は戻せません。
そうだ絵を描こう
この番組を見て湧き上がってきたのは「とにかくすごい」という感想と、懐かしさ、「若い頃の自分に見せたかったな」という思いと「ああ、また絵が描きたいな」という衝動でした。
子供に荒らされまくる予感しかしないので紙とインクを用意して絵を描くのは難しいですが、今は紙もペンも無くてもPCやタブレットで絵が描ける時代になりました。便利です。本当に、いい時代になりました。
今後の人生も細々と絵は描き続けていきたいなあ、と思いを新たにしたのでした。