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あの夜を覚えてる

ちょっと前の話になりますが、ニッポン放送のオールナイトニッポン55周年の配信生ドラマ「あの夜を覚えてる」を見ました。

番組本…と見せかけて「あの夜」のオフィシャルブックだったグッズ。視聴後、受注生産分を勢いで買っていたのが最近届きました。

よくわからないまま見たらすごかった

「あの夜を覚えてる」は、オールナイトニッポン(ANN)55周年を記念した、オンライン生配信舞台演劇ドラマ。
2022年3月20日と27日の2回公演、それぞれ4000円ほどのチケットで、決して安くないのですが、なんだかんだ両日見てしまいました。


事前情報もそんなに集めていなくて、配役がスタッフとパーソナリティーで、ニッポン放送から生配信でラジオが舞台らしい?ということくらい。


いざ見てみたら、ラジオあるあるに笑ったり感心したりドキドキしたり。

藤尾涼太、誰?俳優なの?日曜ANN?*1もう放送100回??と戸惑いながら見ていると、リスナーによる名場面捏造コーナーやらラジオドラマのコーナーやら、トラブルも織り交ぜながら番組が進行していきます。
スタッフ役の役者さんたちの動きに、放送中そうなってるんだーという感心もしたりして、ラジオ好きとして「こういうラジオあるよねー」と裏側を見ている気持ちで楽しく見ました。


配信画面の横にはチャット欄もあって、いつものラジオを聴いている時のTwitterでの実況のような連帯感もあり、映像はあるんだけど、感覚は本当にラジオを聴いている感じ。


藤尾さんがラジオ降板を申し出るくだりではちょうどこの春降板の菅田将暉が思い浮かび、劇中でその降板の真相がわかるあたりではチャット欄で「マジかよ菅田将暉、幻滅した!」など、劇中全く菅田将暉っぽさがないのに流れ弾が当たっているのには、視聴者もみんなANNリスナーなんだなあと感じられてますます楽しくなりました。



劇中に流れるラジオCMもANNリスナーにはくすっと笑える仕掛けがあったり、劇中のラジオのトラブルもなぜか覚えのあるものだったり、ちょい役で佐久間さんやスタッフさんたちが登場したり。
さすが記念公演、ANNリスナーに手厚い。


でもわからないけどこれは何かのラジオのネタなんだろうな、というところもいくつかあり、もっと色んなANN聴いてたらもっともっと楽しめたのかなー、と少し後悔。

いや、でも全部聴いてる人なんかほとんどいないはずだし、わりとわかった方なのかもしれない、と自分を慰めました。


バックで流れているCM部分などを必死に聴こうとしすぎて、本編を見るのがおろそかになったりした部分もあったので、ANNの小ネタが分からない方がむしろ純粋に楽しめたかもしれない…w
なのでANNをあまり聴いてないラジオ好きの方も楽しめたんだろうなと思います。(1周目から小ネタ拾おうとすんな)


で、ストーリーのネタバレはちょっと避けるんですけど、とにかく千葉雄大がすごかった。あの瞬間、チャット欄は滝のようでした。泣いちゃった。


そして「ばかまじめ」、ほんとにいい曲でした。



上演後のTwitterの #あの夜 タグはそれはもうすごい盛り上がりでした。


翌日からのANN各番組でも有料配信コンテンツなのに話題に上がりまくり、星野源も「あのクレイジー配信、寺ちゃん出まくりだし、曲も流れたし、見てて胃が痛くなるほどあんなに俺の番組の要素が入ってるなら、ちゃんと事前に宣伝したのに!」と言うほど…。
出演した三四郎、総合プロデュースの佐久間さんはもちろん、オードリー、Creepy Nuts、YOASOBIなどなど関係者もそうじゃなくても話題に上がりまくり、大盛り上がりで千穐楽を迎えることとなります。


初日と2回目の違い

さて、わたしは元々2回公演のどちらかを見るつもりだったので、当初は2回目はもういいかな…と思っていたのですが、結局2回目も見ることにしました。

初日と同じじゃないよ、と制作側が明言してくれたのも大きかった。

でも、決定的に違うことが一つありました。


初回と2回目:千穐楽の違い。


それは、菅田将暉さんのコロナ感染のニュースが入ってきたのです。
どうりで火曜のラジオに野上くんも大沢さんも福田さん(菅田将暉ANN・cnann0の作家さん)もいなかったわけだ。


あの夜にちょい役で出演してた野上Dのとこはどうなるんだ?

リアルの菅田将暉ANNの最終回は?ラジオ休みの代役は?と、急に「あの夜」の展開とリンクするかのような文脈が生まれてしまったのです。


そんなリアル「あの夜」な状況、みんなはどう見るんだろう。演出に変更はあるのか。気になって2回目も見ることにしました。



「あの夜」のあのシーンもあのシーンも、初日以上に菅田将暉が思い浮かんでしまう。
初日は笑って思い浮かべたのに、今回は心配や寂しさが勝ります。

そもそも藤尾さんはサムネ画像といい俳優設定といい、菅田将暉を意識してないわけがないんですよね。
それは見てる人も同じで…あの夜を見ながら、みんな初日公演以上に菅田将暉のことを想っていました。直接の菅田将暉ANNの小ネタは無いけど、本当に常にそこにいるなぁと、見ている間感じました。


そんな千穐楽は、多くの人に見守られながら(初日とチャットの流速が違う!)、野上くん部分も代役の方が演じ、まるで元からそういう形だったように、きれいに終幕しました。




そして初演から結構変わってて、話も分かりやすくなっていてびっくりしました!


週刊誌の部分もちゃんとセリフで説明してくれていたり、時間経過がさりげなく認識できるようになっていたのとか*2、堂島さんと狩野さんの打ち合わせ部屋の美術が全部変わって何をしているか分かりやすくなっていて(1週間でイチから作り直したらしい)、進化してる!すごい!


演劇にはあまりなじみがなかったので、同じ公演を2回見るとそういうことが起こるんだ~と感動しました。




見終わって、おもしろかったなーという想いと同時に襲ってくる、強烈な寂しさ。



「あの夜」を見たことで、菅田将暉ANNが終わるということの寂しさが増してしまいました…。


でも、ANN代打に松坂桃李が決まるところもCreepy Nutsが月曜ANN開始を1週遅らせたことも、あの夜を見たことできっと裏で奔走したであろう人たちの存在が浮かびました。やっぱり見てよかったな。


(そして菅田ANN最終回は、送辞のコーナーがほぼ「メモリー!」じゃん、と思いながら、菅田トークにゲラゲラ笑って泣いていました。最高の最終回でした。)


ラジオの人たちの熱量すごいよね

仕事の帰りに「ばかまじめ」をよく聴いていると言っていた落合くん(星野源のオールナイトニッポンのAD)。とてもいいなと思いました。


ラジオを舞台にしたお芝居が、ラジオリスナーだけでなく、そこで働いている人にも活力を与えていたって、なんて素敵なんでしょう。



千穐楽の後、トレンドには作品タグの「#あの夜」と、タグでもない「ラジオ好き」が入っていました。
見た人それぞれが、ラジオを好きなこと、ラジオを好きでよかった、ラジオ好きが作ったコンテンツだったと呟いたからでしょう。


このタグを使ってくださいと呼びかけたわけでもない、そんな単語がトレンドに入ったことに、なんだかすごく、ラジオっぽいつながりを感じました。

ラジオって、それぞれがそれぞれの場所で個人で聴いてるんだけど、なんだか上の方で薄ーくつながっていて、そんなところが心地いいと思っていて。
見ている・聴いている人も多くが同じ気持ちだったのかな。


そして100カメのオールナイトニッポン回も、玄ちゃんのアフタートークも、佐久間さんの本もラジオもイベントも、星野源リスナー大感謝パーティーも、菅田将暉ANNの雰囲気もラジオルンバもフワちゃんのマジ反省回も、そしてあの夜も、全部ラジオ愛なんだよなぁ。


ラジオ作ってる人ってみんながラジオ好きで、ラジオの可能性を信じてて、すごいよね。



評判が評判を呼び、公式による同時視聴会や非公式同時視聴などを経て、最終的にチケットは23,000枚が売れたそうです。
最初の価格設定的に、制作側が予想していない枚数になったんじゃないかな。



あの夜、上映会やるってよ

そんな「あの夜を覚えてる」、今度の6/11に上映会があるそうです。

東京国際フォーラムで、1500円。
お安い。配信であんなに高かったのにw
出演者の登壇トークも付いてるのにコスパいいですね。
初日の20日の回の上映だそうです。


no.meets.ltd


見所は野上くんの演技と不自然なみゃーもりですw(27日回にはいない2人)


ちょっとでも気になった方、上映会の後も何か計画されているようなので、機会があればぜひ見てみてください。


よりマニアックな楽しみ方をしたい方は、菅田将暉に想いを馳せながらどうぞ。


(6/20追記)
※上映会にて、BD発売決定が発表されたそうです!ヤッタネ!




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ばかまじめ

ばかまじめ

  • Creepy Nuts, Ayase & 幾田りら
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

*1:オールナイトニッポンは月曜から土曜までなので、日曜担当は現実には存在しない。ちなみに上演は日曜でした。

*2:初回視聴後、経過時間とか劇中今何時かがわかったらいいな、とタグ付きで呟いたら改善されていた…!すごい。